お母様の振袖を娘様の成人式へ|毎年の虫干しで大切に守られた一着を寸法直し
お盆休みを前に、うれしいご相談が続いています。
今月に入ってから、ちとせやでは振袖に関するご相談が今回で4件目となりました。
短い期間にこれだけ振袖のご相談が続くのは私たちも少し驚いているのですが、その中でも最近増えていると感じるのが、
「お母さんが着た振袖を、娘の成人式でも着せたい」
というご相談です。
今回お持ちいただいたのも、まさにそのような一着でした。
【黒地に金の文様が印象的な、お母様の振袖】
今回のお着物は、お母様が以前着用されていた振袖です。
黒地に、金色の流れるような文様が大胆に描かれた、とても存在感のある一着。
平らに広げた状態でも迫力がありますが、実際に着姿にしてみると、身体の動きに沿って金の文様が流れるように見え、さらに印象が変わります。
とても素敵なお着物でしたので、お客様にお願いをし、撮影とWebへの掲載についてご了承をいただきました。
今回のご希望は、この振袖を来年の成人式で娘様に着ていただくこと。
ただ、お母様と娘様では体格が異なります。
実際に確認すると、現在の振袖は娘様には少し大きいため、これから娘様の身体に合うように寸法直しを進めていく予定です。
【ママ振袖は「そのまま着る」だけではありません】
最近では、お母様の振袖を娘様が成人式で着用する、いわゆる「ママ振袖」のご相談も増えています。
ただ、振袖がきれいな状態で残っているからといって、そのまま着ればよいとは限りません。
親子であっても、
身長
肩幅
腕の長さ
体格
はそれぞれ違います。
そのため、実際に着用される方に合わせて、裄や身幅、身丈などを確認することが大切です。
特に振袖は、柄の配置や全体のバランスも着姿の印象に大きく影響します。
単純に「大きいから小さくする」のではなく、娘様が成人式当日にきれいに着られる状態を考えながら、必要なお直しを判断していきます。
【驚いたのは、振袖の保存状態でした】
そして今回、私たちが特に驚いたことがありました。
それは、この振袖の保存状態です。
長い年月を経ている振袖とは思えないほど状態がよく、かなり大切に保管されてきたことが分かるお着物でした。
お客様にお話を伺うと、その理由が分かりました。
ご家族のおばあ様が、毎年きちんと「虫干し」をされていたそうです。
着物は、たんすの中にしまっておけば、そのまま何十年もきれいに残るというものではありません。
特に絹の着物にとって湿気は大敵です。
昔から行われてきた虫干しには、着物をたんすから出して空気に触れさせ、湿気を逃がすとともに、カビや虫害、変色などが起きていないか状態を確認する意味もあります。
毎年着物を出す。
広げる。
状態を見る。
そして、また丁寧にしまう。
一度一度は小さなことかもしれません。
しかし、その積み重ねが何十年も続いた結果、今回のように次の世代が成人式で着られる状態で振袖が残りました。
今回の振袖を拝見して、日頃のお手入れの大切さを改めて感じました。
【おばあ様が守り、お母様が着て、今度は娘様へ】
今回のお話で、とても印象に残ったことがあります。
おばあ様が毎年虫干しをしながら大切に守ってきた振袖。
その振袖をお母様が着用され、
そして今度は、その娘様が成人式で袖を通そうとしています。
着物は、不思議な衣服だと思います。
洋服であれば、何十年も経ったものを体型の違う次の世代が着るということは、それほど多くありません。
しかし着物は、状態がよければ、寸法を直したり、お手入れをしたりすることで、世代を越えて着ることができます。
一着の着物の中に、
おばあ様が大切に守ってきた時間。
お母様が着た時の思い出。
そしてこれから迎える娘様の成人式。
それぞれの時間が重なっていきます。
【新しい振袖を販売することだけが着物屋の仕事ではありません】
着物屋というと、
「新しい着物を販売するところ」
というイメージを持たれる方も多いと思います。
もちろん、それも私たちの仕事です。
しかし、ちとせやでは、それだけが着物屋の仕事だとは考えていません。
ご自宅のたんすに眠っている着物を拝見して、
今でも着られるのか。
お手入れが必要なのか。
寸法直しをすれば着られるのか。
仕立て直した方がよいのか。
そうしたことを一緒に考えながら、ご家族が大切にしてきた着物を、もう一度着られる状態へつないでいくことも大切な仕事です。
今回のように、
「母の振袖を娘に着せたい」
というご相談をいただき、ご家族の成人式という晴れの日に携わらせていただけることは、私たちにとってもうれしいことです。
成人式そのものは一日です。
しかし、その日に撮った写真や、ご家族で過ごした時間は、その後もずっと残っていきます。
そこに、お母様がかつて袖を通した振袖がある。
とても素敵なことだと思います。
【お盆休み前に続いた、振袖のご相談】
お盆休みを前に、今月だけで振袖関連のご相談が4件続きました。
内容はそれぞれ違いますが、共通しているのは、
「大切な着物を、もう一度着たい」
「次の世代に着せてあげたい」
というご家族の思いです。
その一着一着を拝見していると、着物は単なる衣服ではなく、ご家族の時間を残すものでもあるのだと改めて感じます。
今回の振袖も、これから娘様の寸法を確認しながら、成人式できれいに着ていただけるよう丁寧にお直しを進めていきます。
おばあ様が守り、
お母様が袖を通し、
今度は娘様の晴れの日へ。
また一着の振袖が、次の世代へ受け継がれていきます。
そのお手伝いをさせていただけることを、うれしく思います。
【お母様・おばあ様の振袖を成人式で着たい方へ】
武蔵境のちとせやでは、お母様やおばあ様から受け継いだ振袖について、
「娘に着せたいけれどサイズが合うか分からない」
「何十年もしまっていた振袖なので、成人式で着られるか見てほしい」
「シミやカビがないか確認してほしい」
「振袖の寸法直しが必要か相談したい」
「帯や小物は今のものを合わせられるか相談したい」
といったご相談も承っています。
古い振袖だからといって、すぐに諦める必要はありません。
まずは現在の状態と寸法を確認し、その振袖に合った方法を一緒に考えていきます。
大切に受け継がれてきた一着を、次の晴れの日へ。
振袖や着物のお手入れ、寸法直しについて気になることがございましたら、ちとせやまでお気軽にご相談ください。
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